( 110314 )


※ワンピ映画(ストロングワールド)冒頭ネタ




「うわあ......ゾロさん!見て見て、ほんとに飛んでますよ!」


海を眺めれば海面がいつもより遠く、雲はいつもより近かった。 前方では岩壁のような大型船がサニー号を誘導し、船はふわふわと空に浮かび東の海を目指して文字通り飛んでいる―そんな 奇異な状況下、船員のは甲板から身を乗り出して感嘆の声を上げた。「はしゃぎすぎて落ちないようにね」という ロビンの忠告を背に受けて、くっと上半身を反らす。


「ゾロさーん...って、あれ」


返事がないどころか、以上にきらきら目を輝かせてはしゃぐ船長や狙撃手や小さな船医、 呆れ返る航海士、物珍しそうなコックや船大工、微笑む考古学者、高らかな笑い声を響かせる音楽家以外に 剣士の姿だけが見当たらなかった。既に船員たちは各々の思う戦闘服に着替え終えており、 甲板を見回して頭を傾げながらはゾロの部屋の扉をノックする。


「ゾロさんいますかー?どうかしましたー?」


まさか高所恐怖症ですか、という言葉はあっさり開いた扉に掻き消された。勿論そんなことはないと思うけど。


、俺の手拭い知らねェか」
「......手拭い?あ、もしかして黒いのですか?」
「それだ」
「昨日洗濯した気が...多分、まだ乾いてないです」


そうか、と呟いた彼は少し困った顔をした、ような、気がした。それは本当に些細な変化で、きっと日頃から 彼のことをつぶさに観察していないと分からない程の。そんな僅かな感情の機微をも察知してしまう自分に 自嘲気味の苦笑を漏らしつつ「ちょっと待ってて下さい、」と慌しく部屋を後にする。







「......で。あれはどーいうことなんだ、つっこみ待ちか?」
「やめときなさい、つっこんだら殺されるわよあんた」
「ゾロかわいいなー」
「ヨホホホ!ゾロさん、その花柄のバンダナよくお似合いで!」
「ふふ、愛の成せる業ね」



あの娘の愛は
(あの、よかったらこれ使ってください!)